やさしい税務会計ニュース
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文書作成日:2022/12/13
配偶者が退職金を受給した場合における、配偶者控除の適用可否の判定方法

[相談]

 私の妻は、今年(令和4年)3月に勤務先を退職しました。
 妻の今年1月分から3月分までの給与受給額は、合わせて102万円でした(なお、今年4月から年末までは、給与収入は一切ありません)。また、妻は勤務先から退職金として200万円を受給しています(勤続年数4年)。
 この場合、妻の今年分の「合計所得金額」は、給与102万円−給与所得控除額55万円=47万円となり、48万円以下であることから、妻は私の所得税法上の控除対象配偶者となり、私は、自身の今年分の所得について所得税法上の配偶者控除の適用を受けられる、という理解でよいでしょうか。
 なお、私の今年分の給与収入は600万円です。


[回答]

 ご相談の場合、奥様の今年分の合計所得金額は、給与所得(47万円)と退職所得(20万円)との合計額(67万円)となり、48万円を超えています。
 したがって、奥様は所得税法上の控除対象配偶者にはならないことから、配偶者控除の適用は受けられません。
 ただし、別途、38万円の配偶者特別控除の適用を受けることができるものと考えられます。


[解説]

1.給与所得金額の計算方法の概要

 所得税法上、給与所得の金額は、その年中の給与等の収入金額から一定の「給与所得控除額」を差し引いた残額とすると定められています。

 今回のご相談の場合、給与所得控除額は55万円ですので、奥様の今年分の給与所得金額は、102万円−55万円=47万円となります。

2.退職所得金額の計算方法の概要

 所得税法上、退職所得の金額は、原則として、その年中に支払を受ける退職手当等の収入金額から、その人の勤続年数に応じて計算した「退職所得控除額」を控除した残額の2分の1に相当する金額と定められています。

 上記の退職所得控除額は、勤続年数が20年以下の場合は、40万円にその勤続年数を乗じて計算した金額と定められています(計算した結果の退職所得控除額が80万円に満たない場合には、80万円です)。

 したがって、今回のご相談の場合、奥様の退職所得の金額は、(200万円−(40万円×勤続年数4年))÷2=20万円となります。

3.配偶者控除の概要

 所得税法上、納税者に「控除対象配偶者」がいる場合には、一定の金額の配偶者控除が受けられると定められています。

 上記の控除対象配偶者の要件は、下記のとおりです。

  • @民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)
  • A納税者と生計を一にしていること
  • B年間の「合計所得金額」が48万円以下であること
  • C青色事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと、または白色事業専従者でないこと

 配偶者控除の具体的な金額は、控除を受ける納税者本人の合計所得金額及び控除対象配偶者の年齢に応じて、13万円から48万円まで6区分定められています。

 なお、「合計所得金額」とは、下記の金額をいいます。

 次の@とAの合計額に、退職所得金額、山林所得金額を加算した金額です。

(※)申告分離課税の所得がある場合には、それらの所得金額(長(短)期譲渡所得については特別控除前の金額)の合計額を加算した金額です。

@事業所得、不動産所得、給与所得、総合課税の利子所得・配当所得・短期譲渡所得及び雑所得の合計額(損益通算後の金額)

A総合課税の長期譲渡所得と一時所得の合計額(損益通算後の金額)の2分の1の金額

 ただし、「◆総所得金額等」で掲げた繰越控除を受けている場合は、その適用前の金額をいいます。

出典:国税庁ホームページ「合計所得金額

 上記のとおり、合計所得金額には、退職所得金額も加算することと定められていることから、今回のご相談の場合、奥様の今年分の合計所得金額は、給与所得47万円+退職所得20万円=67万円となります。

 したがって、合計所得金額が48万円を超えていることから、奥様はご相談者の控除対象配偶者にはならず、その結果、ご相談者は配偶者控除の適用を受けられないこととなります。

4.配偶者特別控除制度の概要

 今回のご相談のように、配偶者の合計所得金額が48万円超えるため配偶者控除の適用が受けられないときでも、配偶者の所得金額に応じ、納税者本人の所得について一定の金額の控除が受けられる場合があります。これを配偶者特別控除といいます。

 配偶者特別控除の適用を受けるための要件は、納税者本人のその年における合計所得金額が1,000万円以下であること、民法の規定による配偶者であること(内縁関係でないこと)、納税者本人と生計を一にしていること、その年に青色事業専従者としての給与の支払を受けていないこと(または白色事業専従者でないこと)、配偶者の年間の合計所得金額が48万円超133万円以下であること等です。

 配偶者特別控除額は、控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額および配偶者の合計所得金額に応じて1万円から38万円まで27区分定められています。

 今回のご相談の場合、奥様の合計所得金額が67万円であり、かつ、ご相談者の合計所得金額が900万円以下であることから、ご相談者は、ご自身の今年分の所得について、38万円の配偶者特別控除の適用を受けることができるものと考えられます。

[参考]
所法2、28、30、83、83の2、別表第5など


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